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もすけブログ

ゲイイラストを中心に活動するもすけの本拠地。

2017年08月 | ARCHIVE-SELECT | 2017年10月

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【雑記】ノになりたい

雨音を聞きながら目を覚ます。
けたたましい携帯のアラートはいつの間にか止めていた。
今日も気持ちが晴れていないことに辟易としながら、トイレに向かう。

母からメールが届いていた。
ガンの再発を防ぐためにまだまだ入院したり検査に行ったりしなきゃいけないらしい。
抗癌剤治療もすると決めたそうだ。




痛みが広がっていく。
胸の、奥の方から。
じくりじくりと。

急激な吐き気と目眩。
何がどうなってるかわからなくて、怖かった。
けどもう、どうでもいいや。




助けてよって声は、たぶんきっと、誰にも届かない。
そんなことを言う資格も、自分にはない。

ただ、息をして。
ただ、遠くを見る。

幸いだと考えるべきだ。
自分が消えたところで生活に支障が出る人間がいないことは。





これだけ滅入っていても。
これだけ打ちのめされてても。

馬鹿みたいに真面目にバイトに向かうんだから笑えるよ。
誰だかわからないやつに、ヘラヘラ愛想振りまいて、気使って、優しくして。
本当に、そうしたい人には、少しだってできやしないのに。
仕事だから当然だけど、割り切れない何かがそこにはあって。

見下されて、馬鹿にされてるのも知ってる。
つまらないな…。




金八先生。
人は支え合って生きるって話。
俺あれ信じられないよ。
どう考えても初画のノが一方的に支えられてるじゃん。
ノよりも小さい二画目が必死こいて自分よりも大きいノを一方的に支えてるじゃん。
俺には搾取する人間と、搾取される人間とで成り立ってるのが「人」って方がしっくりくる。




俺も、ノになりたいな。

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【作り話】①

教室の雑踏が嫌いだった。
クラスに馴染めなかった僕はいつも1人で音楽を聴きながら、机に伏せていた。
誰かと関わろうという気にはならなかった。
自分なんかと接する時間が、相手にとって有益なはずがないと思った。
特に、授業で班を作らなければいけない時は困った。
クラスに話せる人なんていなかった僕は、皆が順調に班を作っていく中、いつも最後まで余っていた。
心臓が、ドクドクとうるさくて。
惨めで、恥ずかしくて。
泣きそうになってる自分が、どうしようもなく嫌いで。
消えてしまいたかった。

「なあ」

でも、あの時だけは違った。

「お前確か、絵上手かったよな?一緒にやらね?」

最初、まさか自分に声がかかっているとは夢にも思わなかった僕は、とても自然に彼を無視した。

「……あれ?おーい、倉橋。聞いてるか?」

僕の目の前でぶんぶんと手のひらを振られて、僕は初めて声をかけられていることに気付いた。

それが、僕と松本の始まりだった。



松本とつるみ始めて最初にわかったことは、コイツはとても自己中心的なやつだということだった。
「あー、俺以外のやつ皆ぶっさいくだったら良いのに」
1日に1回はこのセリフを聞かされた。
「倉橋。その点お前は合格だ。いい感じに不細工だからな」
こういう失礼なことを平気で言ってしまえる男なのだ。松本という男は。
ニシシと笑う松本の顔に悪びれた様子はなかった。
たぶん松本も、僕と一緒で、他人と歩調を合わせるということができない類の人間なんだろう。
そう理解した。
「っていうか、ほんっと絵だけは上手いよな~」
椅子の背もたれに顎を乗せながら、感心そうに松本は言った。
「だけは、なんて言ったら駄目だよ松本くん!」
机をバンと叩いて立ち上がったのは、同じ班の市ヶ谷だった。
僕が絵は描けるけど字は下手だということを知った松本が、急遽他の班から引き抜いたのが書道部の市ヶ谷透。
人懐こい性格でクラスの誰からも慕われてる存在。
僕なんかとはまるで正反対の人種だと感じていた。
「じゃあお前コイツの長所他に言えんの?」
「そ……それは!言えるよ!!」
「じゃあ言ってみ?」
「は……は、肌がきれい」
「まぁ確かに綺麗だけどもさ、そういうことじゃなくね?」
「そういうことなの!!」
「ふーん」
僕が真面目にミドリムシのイラストを描いてる横で、松本と市ヶ谷はいつもこんな感じだった。
特定の微生物について研究し、そのプレゼンを班ごとにしなければならないのだけれど。
おそらく松本はただ、楽がしたかったんだろう。
自分よりも格下で、かつ自分の言うことを実直に遂行してくれそう人間に白羽の矢を立てたんだ。
たぶんきっと、僕は松本の理想的な奴隷として選ばれた。
普通なら嫌だと思うんだろうけど。
「なー倉橋ー。それ描けたら、コロッケパン買ってきて」
「松本くん!!!」
屈託のない笑顔で、松本が僕を見る。
なんでかな。その時僕は、誰かに必要とされたことが、嬉しかったんだ。


| 作り話 | 01:18 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑

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