気持ち的には勘太君(トトロの)
突然降り出した雨に濡れたお客さんがポツポツと目立ち始めた頃、今僕がもっとも気になっている男性(過去記事参照)を発見。
相変わらずクソ可愛いくていらっしゃる。
お店に入ってくる時に肩をパンパンと払っていたから、恐らく傘を持ち合わせていなかったのだろう。
(Yシャツ透けてねーかな)
なんてやましい気持ちで凝視するも、残念ながら下にTシャツを着てたから肌透けは無かった。
この時ばかりは、この世のTシャツというTシャツを恨んだ。
「Tシャツ滅べ」と思った。
しかしこの男性。
比較的毎度、夏場でも長袖のYシャツを着て下にTシャツを着ている。
……何故だろう。
や、下にTシャツを着るのは分かる。
学生時代僕もそうだったし。
問題は長袖のYシャツの方。
肌の露出を避けたいのか?
日焼けしたくないのだろうか……いや、でも顔面は充分に黒いし、以前私服で来店した時は普通にTシャツハーパンでグヘへな格好だったし……。
う~んと首を捻らせていると、運良くその男性が僕のレジに並んだ。
「いらっしゃいませ~」
嬉しさを堪えつつ、努めて冷静に振舞う。
偶然かも知れないけれどこの男性、ここ最近高確率で僕のレジに並んでくれるのだ。
(この人は実はこっち系の人で、オイラに惚の字なのか……!?)
という、実に安っぽい妄想にドキドキしながら、
(んなわけねーっつの)
と妙に冷めた相槌を自分で打ちつつレジを通す。
「お箸はお使いになりますか?」の問いかけに「あ~……はい。じゃあ、2つで」と言ったので。
多分どうせ、彼女的ポジションの相手が居るのだろうなぁ。
結婚指輪はしてないから、まだ独身だろうけど……まぁ、時間の問題かな。
なんて、勝手な妄想を膨らましつつも、お箸を2膳、カゴに忍ばせる。
しかし、お箸の「2膳」を「2つ」という辺りが個人的にもっそいツボ。
わりかし真面目そうな風体なのに、そういう、ちょっと抜けた所で凄く可愛く見えてしまう。
笑顔で「ありがとうございました」を言うと、男性は軽く会釈をしてサッカー台(お客さんが荷物を詰める台)へ向かった。
実を言うと、僕はまだ、この人が感情を露にした場面を目撃した事がない。
いつも一人で来店するし、そうなるとやっぱり表情は一緒。
誰かしらが一緒に居れば、その人との会話で感情が表情に表れる事もあるだろうに。
たまに、一人でも表情豊かにしている人も居るけれど、この男性は比較的大人しい人のようで。
(笑った顔みてみたいな~……)
なんて思いながらも、悲しいかな。
続々と押し寄せるお客さんの相手をする僕。
お客さんをさばき切り。
なんとはなしに、サッカー台へ目をやると。
荷物を詰め終わったというのに、先程の男性がまだ帰っておらず、ぼんやりと窓から外を眺めていた。
外では未だに雨が降っていて、しかも若干強くなっているようだ。
(やっぱり、傘持ってないんか……)
少しして。
そこに居たら他のお客さんに迷惑だと思ったのか、男性はそそくさと店を出て行った。
……しかし、外に出ても店先の軒下で、やはりさっきと同じ様に雨降りの空を眺めている。
(………………)
僕は他のレジメンバーに「ちょっと抜けます」とだけ言い残し、バックヤードへ。
非常時用の置き傘を持ってきて、他のお客さんが居ないのを確認してから、依然として空を眺めている男性に
「あの、良かったらお使い下さい。」
傘を差し出した。
すると男性は、少し驚いたような顔をした後。
「あぁ、ありがとうございます」
すこし遠慮がちな笑顔で、僕にお辞儀をした。
「いえ、お気をつけて」
それだけ言うと僕はそそくさとレジへと逃げ帰った。
レジへ向かう背中に、男性は「助かります」と声を投げかけてくれたけれど。
僕はそれを聞こえない振りで、走り去った。
そう。
気分はさながら「となりのトトロ」の勘太君であるww
しかし、レジに戻ってから、色々と「もっとあー言えば良かった」とか「傘なんて借りたら返しに来るの面倒臭いよなぁ……返さなくてもいいですよ、と言ってもそれはそれで処分に困るしなぁ……」とか。
色んな事が頭を巡っては、「貸さない方が良かったかもなぁ……」と若干凹んだ。
けど、まぁ。
見たい見たいと思っていた笑顔が、すげー間近で見れたから。
それだけでも良かったと思う事にした。
それにしても本当。
自分というのはお客様に優劣を付ける駄目店員である……(遠い目
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