【ドドコルド・ドッコルドー】第1話 人はそれを「あるある」と呼ぶ
これは持論だが。
「人間観察が趣味です」とか言うやつは大概、性格の悪い奴だ。
それと、なにをやるにもせかせかと、常人の1.5倍の速度感で動くやつは、大概、仏頂面だ。
「あの~……」
他にも持論はある。例えば、前歯がないやつは大概、性格が明るい。右腕が銃のやつは大概、ニヒルだ。とか。
「せんぱ~い?聞いてます~?お~い」
ここで一つ、最近入手した新たな持論を展開しようと思う。それは強面の筋肉ダルマは大概、股間が小さいというもので――
「……また寝てるのか。このボケオヤジは…」
「誰がボケで誰がオヤジだ?クソ後輩」
机越しに佇む少年にかかと落としを直撃させながら、ドドコルド・ドッコルドーは言葉をもらした。
「いったーーーーーー!!やっぱ起きてるんじゃないですか!!何で無視するんですか!?毎回毎回!!」
「無視?私がか?これだから最近の甘ったれた環境で育った世代は嫌いなんだ。私は眼球の微かな動きで返答を返していたが?」
「あーあ…眼球で返事をしてくる超常的な変態人間の下でボロ雑巾のように雑用をさせられるって分かっていたら、こんな職場選ばなかったんだけどなぁ…」
ケロッグ・コーンブレイクが半眼で呻くのを視界の片隅に収めながら、ドッコルドーはパチンと指を鳴らした。
「及びでしょうか、ドッコルドー様」
初めからそこにいたかのように、音もなく、風もなく現れた男は、ドッコルドーの傍らに跪く。
「忍丸。この欧米の朝食みたいな名前のクソガキをつまみ出せ」
「御意」
「え!?あ…ちょっと待って!!僕は先輩に報告しなきゃいけないことがあって――」
「どっせえええええええええええええええい!!」
コーンブレイクの首根っこを掴み上げると、忍丸はこれまでの忍者風の演出とは裏腹な豪快なフォームでそれをぶん投げた。部屋に一つしかない窓は砕け散り、何かを叫んでいるコーンブレイクがみるみる遠ざかっていく。
「……………」
「任務完了」
「…忍丸、ちょっと来い」
「御意」
瞬間移動なのか何なのか、正直よくわからない移動法で忍丸はドッコルドーの傍らに膝をつく。
「窓……直しとけよ」
「………御免」
シュン!という音とともに姿を消す忍丸にドッコルドーは殺意を膨らませつつ、もう一つの感情が沸き立っていることを自覚する。
コーンブレイクが遠ざかりながら発していた叫び声に、気がかりなワード含まれていたからだ。
「チチクリス……チクチー…」
開かれた目、吊り上がった口端、歪んだ眉根。
ドッコルドーが意識することなく、彼の顔の筋肉が自然と邪悪な表情を形成する。
「やっと……やっとだ!!やっと殺せるぞぉぉおおお!!」
大仰に叫ぶと、歪に空いた壁の穴の前に立ち、ドッコルドーは高らかに笑った。
つづく
| 作り話 | 03:07 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑
名前の語感がサイコーww
絵もかけて、文章もかける、ハイブリットクリエーターですね(>人<;)
俺も頑張らないと!
| ぎょ | 2017/04/05 05:32 | URL |