もすけブログ

a「１時間に１本とか……ホントありえねーから」

b「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」

a「は？何それ、えなり君の真似？もしかして」

b「えなり君？」

a「え？お前えなり君しらねーの？」

b「知らないよそんな人。いなり寿司となにか関係ある人？」

a「ねーよ。確かに「えなり」と「いなり」で似てるけど」

b「じゃあ知らないや……」

a「じゃあって何だよ……あーもう本当訳わかんねー村だなここ」

b「そうかなぁ。普通だよ」

a「そりゃあお前は生まれつきこの村に暮らしてるからだろうよ」

b「生まれつきじゃないよ。１歳の時に引っ越してきたんだもん」

a「生まれつきとして考えていーの、その場合は」

b「えー……」

a「ったく、面倒くせー奴だな」

b「どっちがだよ」

a「ってか、何分経った？」

b「えっとね………………３分」

a「はーーーーーーー！？まだ３分しか経ってねーの！？」

b「うん」

a「だってお前……俺達が走り行くバスを見送ったのが何分前だよ！？」

b「３分前だね」

a「……無理無理。だってこれ。次のバス来るまであと何倍の時間待たなきゃいかんの？」

b「２０倍だね」

a「あーーーー！！言うな！！明確にするなばかー！！一気に気が遠くなったわー！！」

b「自分で聞いたんじゃない」

a「うるさい」

b「まぁ１時間なんてすぐだって」

a「だから～……それはお前がこの村の住人だからだろ？」

b「a君だってそうじゃない」

a「俺はつい昨日そうなったばっかなの！！お前とは年季が違うの！！分かる！？」

b「すぐに慣れるよ」

a「あー……まじないわー。っつか雨降ってきてね？」

b「うん、秋だし」

a「秋だし、じゃねーよ。最悪だ……傘もってねーっつの」

b「僕持ってるよ、折りたたみだけど」

a「…………それ貸してくんね？」

b「嫌だよ、濡れちゃうじゃん」

a「いーじゃんよ、だってお前んちバス停の真ん前じゃん！俺バス降りてから更に２０分歩くんだぞ！？」

b「うん、知ってる」

a「じゃあ貸してくれよ」

b「だから嫌だって」

a「なんなのー！？こいつなんなのー！？友達甲斐なっ！！」

b「じゃあ僕がa君の家まで送るよ」

a「は？」

b「僕がこの傘といっしょにa君の家まで行くって」

a「なんでおめーと相合傘だよ……盛り下がんなー」

b「盛り上げてこうよ」

a「盛り上がんねーよ……」

b「じゃあ仕方ないなぁ……これ貸してあげるよ」

a「もう一本あんの！？じゃあそっち初めから出してくれたらいいじゃん！！でもありがとねほんと！！」

b「っていうかそれあげるよ」

a「え？良いの？マジ助かるわ」

b「骨半分くらい折れちゃってんだよね、その傘」

a「………………贅沢は言わねーけどなんだろうこの複雑な気持ち」

b「恋じゃない？」

a「ちがうね。１００％違う自信があるね」

b「恋だと思うんだけどなぁ」

a「……あれ？あそこ歩いてるのって谷口じゃね？」

b「ほんとだ」

a「おーい！谷口ー！！」

b「でも谷口君の隣誰か居ない？」

a「……ほんとだ」

b「女の子じゃない？」

a「…………ほんとだ」

b「相合傘じゃない？」

a「…………………ほんとだ」

b「滅茶苦茶かわいくない？」

a「………………くっそタイプ」

b「………………」

a「………………」

b「あんまジロジロ見ないでよ」

a「あーーーーーー！！もう何でお前なの！？俺の隣に居るのが！！」

b「一緒に帰ろうって言ってきたの、a君じゃない」

a「そーだけど！！そーだけどさー！！あーー不公平だよ！！俺もデブだけど谷口だってデブじゃん！！」

b「しかも谷口君ちょっと汗臭いしね」

a「なんでその谷口にあんな美女が相合傘で汗くせーんだよ！！」

b「文章めちゃめちゃだよ」

a「…………で、何分？」

b「８分」

a「………………あと５２分何すんのまじで」

b「恋話でもする？」

a「何、お前好きな奴いんの？」

b「うん、居るよ」

a「おいおい！！誰々！？勝又！？」

b「教えるわけないじゃない。っていうか、なんで勝又さんの名前出したの？」

a「え？だって勝又かわいーじゃん」

b「へー、a君ってああいう子がタイプなんだ」

a「さっき谷口の隣に居た子のロングヘアー感も良いけど、本命はショートカットだよ、絶対！！」

b「……………………」

a「…………え？何してんの？おもむろに髪なんていじりだして」

b「ショートカット」

a「お前頭おかしいんじゃね？」

b「酷っ」

a「っつーかやべっ、トイレ行きたくなってきた」

b「してくれば？」

a「どこで？」

b「そこの草むらで」

a「超雨降っとるやん！！」

b「僕が傘さしててあげるよ」

a「お前１００パー覗き込むべ」

b「駄目なの？」

a「駄目だわ！！お前にチンコ見られたらぜってー変な噂広がんべ！！」

b「広がらないよ」

a「広がる！！」

b「え？なに、広がるようなチンコなの？」

a「は？普通のチンコだっつーの馬鹿」

b「形がなんか凄い……斧みたいな形とか？」

a「どんなんだよそれ。むしろそんなんだったら自分から見せにかかるわ」

b「じゃあ見せてよ」

a「だからちげーっつの！！」

b「あと５０分だね」

a「お前さ……あー、でも「もう１０分経った」って思えばいけるかも」

b「じゃーん」

a「え？何それ」

b「ＭＤウォークマン」

a「ＭＤ！？そんな遺物使ってんの！？」

b「……遺物て」

a「わ……わりぃ。いや、でもお前すげーな」

b「一緒に聞こう」

a「まぁ良いけど」

b「はい、いやほん」

a「ん。…………これ何の曲？」

b「稲山さんの怖い話１０選」

a「怖いわっっ！！」

b「え、まだ怖いところじゃないよ？」

a「ちがうちがう！稲山さんの話が、じゃなくて、稲山さんの怖い話をＭＤに落としこんで聞いてるお前が！」

b「違うのもあるんだけど」

a「あーじゃあそっちにして……もうマジ今度は普通のにしろよ」

b「…………はい。再生したよ」

a「………………」

b「………………」

a「サザエさんってドラマＣＤだしてたっけ？」

b「ううん、テレビの録音」

a「だから怖いって！！何なのお前！？曲ないの！？曲！！ミニマムザホルモンとかないの！？」

b「み……ミニーマウスホモだもん？なにそれ、そっちのが怖いよ」

a「もういいわー……俺携帯ゲームすっから、お前サザエさん聞いてろ」

b「うん、分かった」

a「………………」

b「………………」

a「…………おい」

b「なに？」

a「もしかして、ここって電波……」

b「携帯電話の？入らないよ？」

a「………………終わったー」

b「稲山さん聞く？」

a「……もう聞いちゃおうかな、なんか」

b「はい、どうぞ」

a「ん」

b「……………………」

a「……………………」

b「……………………」

a「わーーーーーーーーーーーーー！！」

b「ね？怖いでしょ？」

a「怖っ！！なんだこれ！！やべぇだろ枕の中にそんなの入ってちゃ！！」

b「もう今夜寝れないよ、a君」

a「想像を絶したわー……超こえー……トイレ行きたくなってきたー……」

b「あと４５分あるよ」

a「移動時間含めたら家着くのに軽く２時間あるっつの……」

b「我慢だよ」

a「漏れちゃう☆」

b「なんで可愛く言ったの？」

a「意味は無い」

b「まだあんまり雨も降ってないしさ、ここの裏でしてきちゃえば？」

a「あー……そうしよっかなー」

b「昔そこで首吊りあったから気をつけてね」

a「ねえ、なんで今その話したのお前？」

b「なんでって言われても」

a「えー……もう首吊りとか超こえーじゃん……」

b「ちょうどね、そこの窓から見える木で」

a「いいよーーーー！！そういう情報いらんから！！あーもう無理だわ。俺ここ通る度思い出すわ」

b「オシッコ行かないの？」

a「いけなくなったよ誰かさんのせいで」

b「てれるぜ」

a「なんで照れたんだよ……あー早くバス来いよー……なんか超早い奴こねーかなー！！」

b「首なし運転手のこと？」

a「ねぇ……何それー……」

b「この村に伝わる幽霊バスの話」

a「そういうのいらないって言ってるの分からんの？お前……」

b「このバス停にも止まるらしいよ」

a「止まらない止まらない！！あー可愛い女の子のパンツ落ちてないかなー！！」

b「なにそれ」

a「何分？」

b「１８分経ったよ」

a「あと４２分かー……なんもすることねー！！」






……っていう、イラスト。