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定義付けられない感情


「もすけ君をギュってしようと思ったけど、恥ずかしくなったからやめた」

結婚をしているあなたが、どうして同性の僕にそういうことを言うのか。
僕は今も、三日前のことを、考えてる。
いつもの、悪ふざけのノリで、言った言葉だったとしても。
今の僕には、その言葉はどうしても、深く、深く突き刺さった。

「Kさんは、どんな人を好きになりますか?」

「ん~……一緒にいて、気持ちが楽な人かなぁ。だから、気兼ねなく時間を過ごせるもすけ君のことは好きだよ」

「じゃあもう結婚するしかないですね」

「そうだね、カミさんとちょっと別れてくる」


ゴッコ遊びみたいな温度感で。
多分あなたは、笑っていたことだと思う。
でも、僕は、少しでも、あなたとの生活を思い浮かべて、ただ、子供みたいに、辛かったけど、嬉しかったよ。








辞書を引く手が、止まった。

僕の心に、ポッカリと、穴があいたようだった。

それが、今から約、10年も前の話。



こい【恋】
男女が互いに相手をこいしたうこと。また、その感情。こい。



……男女が。


僕の持っていた辞書には、恋について、こう、記されていた。
つまり。
僕が恋だと思っていたものは、恋ではないということになる。

それが、どうしようもなく、怖かった。
自分の感情が、「恋ではない」と思った訳じゃない。
自分が、当時好きだった人に向けていた感情は紛れもなく恋愛感情だったという自信があった。
けど、それが、自分以外の、「普通の人間」からしてみたら、恋とすら呼べないものなんだと遠まわしに宣告されているようで。
この辞書を見た、ほかの誰かの、「恋」に対する認識が固定されてしまうことが、怖かった。


恋は、男女がするもの。


そんな風に、あなたに思われるのが怖かった。
あなたが、そういう風に思っているのだと知ってしまうのが怖かった。



どこに、正当性を置くかで、僕の気持ちなんて、まるで紙屑みたいにぐしゃぐしゃにされて。
「傍にいたい」と思うことだって、僕の気持ちが向かう人には、迷惑なんだって思った。






あれから10年が経って。
今も僕は性懲りもなく、誰かを好きになって。
あの時と変わらない屁理屈で、自分自身を傷つけては、慰めて。
未だ味わったことのない幸せをただ求めては、皮肉めいた言葉とともに諦める。

あの人を好きな気持ちは本物だけれど。
それは絶対に、嘘にしなきゃいけない。
言葉にできない声で、僕が僕のその気持ちをずっとずっと、慰めてあげなきゃいけない。



「好きだよ」

なんて、そんな簡単に言わないで。
どうやったって、嬉しくなってしまうし、分かっているのに、期待してしまうから。
僕の好きと、あなたの好きは、きっと、決定的に、違うものだよ。

でも、それでも一緒に生きていくことができるなら。
すれ違った気持ちのままでも、それは幸せなのかな。
愛し合うことができなくても。
温度差は半端じゃないけど。
好きな人と居られることは、幸せなのかな。

「傍にいたいよ」って、素直に言えなくても。
あなたが休みの日の寂しさをうまく伝えられなくても。

一緒に笑える時間があれば。
幸せなのかな。

だったら、やっぱり。
大事にしなきゃなと思う。

自分のためじゃなく。
あなたが僕を必要としてくれる限り、僕は、僕でいなくちゃいけない。
本当の僕はたぶん、あなたには都合の悪い存在だから。

さ。
ギャグ漫画日和でもみよ。

| 日記 | 19:30 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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