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体格差カップルの添い寝

今回の記事は、ぎょさんの小説「不規則なリズム」「不器用なビネツ」のネタバレを盛大に含みます。
もう読んだぜ!&それでもかまわん!という人のみ、自己責任で続きを見て下さい!






俺の名前は村上大樹。
先月やっと、フリーターを抜け出し正社員になれた。
慣れない環境で心身共にだいぶ疲れ始めた今日このごろ…。
しかし、今日は正社員になるまで働いていた焼肉屋の友人達と、一泊二日の旅行に来ている。
ゴールデンウィークを利用した、ちょっとした息抜きだそうだ。
正直なところ、この旅行を企画してくれた中台には感謝している。
というのも、俺の相方――中川泰と、久しぶりに会うことができたからで。

「ねー村上さん!聞いてる!?」

「お…おう」

しかし、なんていうのだろうか。
「恋人」とは言ってみても、まだ、恋人らしいことはできておらず…。
公園で軽くキスをしたぐらいの関係だ。

「絶対聞いてなかったよね!?じゃあ、僕が今、誰のどういうところが気に入らないって言ってたか当ててみてよ!」

「う……」

「ほらー!!っていうか、今日の村上さんちょっと変だよ?「おう」とか、「うむ」とかばっかでさ」

そんなことを言われても。
中川には分からないのだろうか?
今、俺と中川はホテルの個室に二人きりで。
今、俺と中川は恋人同士で――。

「な…中川、俺は…その」

「村上さん、もしかして…!!」

急に中川が顔を近づけてくる。
…近い。
俺の胸元ぐらいの身長の中川が、一生懸命背伸びをしてるのがまたなんとも可愛らしい。
これは、もう、抱きしめても良いのだろうか?

「な…なんだ?」

「便秘?」

「……ん?」

素っ頓狂なことを口走る中川に、俺は小首を傾げざるを得なかった。

「僕ね、この間テレビで見たんだけど、便秘の人って情緒不安定になりやすいんだって!ほら、村上さん新しい職場でストレス溜まってるだろうから…ねぇ。便も溜まっちゃってるのかなぁって」

「いや、便秘ではない」

俺の即答を聞くと、中川は訝しげな表情をしてみせたが、すぐにケロッと笑いだした。

「だよね(笑)」

「…………」

中川のコロコロとした表情の変化が好きだ。
それは、無愛想な俺には、頑張ってもできないことだから。
きゃしゃな体つきで、触れたら折れてしまいそうな危うさも。
でも、頑張って男っぽく振る舞おうとするその健気さも。
俺は、中川が、好きだ。

「もう寝よっか!明日も早いし、夜更かしして集合時間に遅れたら、勝太さんに冷静に怒られちゃうし!」

勝太という言葉に、俺はドキッとした。
中台 勝太。
中川が以前、好きだった相手でもあり、この旅行を企画してくれた人物でもある。
さっきも言ったが、中台には感謝している。中台がこの旅行を企画してくれなければ、
不器用な俺は、中川を誘うのに1年ぐらいの月日は簡単に費やしてしまっただろう。
だかしかし、中川が中台の事を口にすると、どうしようもなく、怖くなる。

「…そうだな。寝るか」

この旅行の道中で買った、お揃いのブレスレット。
右腕に巻きついてるそれを、俺はぎゅっと、握りしめた。




結局。
今夜は中川に恋人らしいことをすることはできなかった。
俺と中川は、ほんとうに付き合っているのだろうか?
ふと、自信がなくなる。
俺って人間は、図体ばかりでかくて、肝心なところでいつも、怖気づく。

「………はぁ」

ため息を付いて、寝返りを打つ。
ふと、ベッドの脇に人の気配を感じて目を開けると、中川が立っていた。

「な…中川?どうし――」

俺が言い終わるのよりも早く、中川は俺の上に倒れてきた。

「お…おい。大丈夫か?」

「……すやー」

「…………」

寝ぼけてるんだろうか?
それにしても、軽い。
以前、中川を背負った時も思ったが。

「…………」

ふんわりと、中川の髪からシャンプーの匂いがした。
薄いTシャツ越しに、中川の体温を感じる。

(…うお…やばい)

ヤッチと村上 添い寝01c

俺の心臓の音で、中川が起きてしまうんじゃないかと思う。
というより、中川は、本当に寝てるのか?
まったく行動を起こさない俺にしびれを切らして、寝ぼけたふりをしているのでは?

いろんな憶測とは裏腹に。
俺の大事な所は、ドクドクと熱を帯び、誇張を続けている。

(うぅ……これは…っ)

中川と、1つになりたい。
俺が今願うことは、それだけだった

すーすーと寝息を立てている、この年下の男子を。
俺のものにしたい。

(…………)

しかし、それと同時に、中川を守りたいという気持ちも存在していることに気付いた。
俺の、寝こみを襲うなんていう、心無い行為で、中川を傷つけてしまうかもしれないのが、怖かった。

行き場を失った右手で、中川の頭を撫でる。

「…ん…ん~」

むにゃむにゃと中川は俺の体に抱きついてくる。
自分自身、抱きまくらとしては、だいぶ抱き心地が良いんじゃないかと思う。

(………おやすみ、中川)

ポンポンと頭を叩くと、俺は目を閉じた。
…到底、眠れる気などしないが。
今日は、これでいい。
このぬるま湯みたいな幸せで。

だけどもし、次の機会があったら、その時は――

ちゃんと中川に、気持ちを伝えよう。




なんていうか、ヤッチ&村上ペアが好きすぎて、妄想せずにはいられませんでした(笑)
因みに今回のは本編の後日譚的な設定の話です。
そして、完全にもすけの妄想話ですので、ぎょさんの世界観とは違ってしまうかもしれないことを予めご了承下さい。

あー、こいつら可愛いわー。

| イラスト | 19:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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